市場予測：来年度の綿花消費は5年ぶりの高水準

米農務省の5月の需給予測によると、2025/26年度の世界の綿花消費量は前年同期比小幅に増加し、1億181万パックに達し、ここ5年で最高水準となる見通しだ。綿花の十分な供給は綿花先物価格の上昇を制限し、綿花消費を支える。綿花消費は3年連続で増加すると予想されているが、増加幅はトレンドラインを下回っている。化学繊維による競争とマクロ経済の不確実性が綿花消費を制限するためだ。

2025/26年度、綿花消費の安定化の重要な要素の1つは綿花サプライチェーンの補庫が安定を維持することである。3年前、先進国の卸売業者と小売業者の製品在庫の圧力は、2021/22年度と2022/23年度の綿花消費に圧力を与えた。それ以来、在庫の明らかな低下は綿花消費のその後2年間の回復を牽引し、この傾向は2025/26年度も続くだろう。

世界の綿花消費は綿製品の輸入量と密接な関係があり、繊維消費は将来の製品輸入の前兆である。主要輸入国の直近1年間の綿製品輸入量は約770万トンで、前年の690万トンを上回っている。この数字はここ10年の平均値と一致し、在庫をできるだけ早く消化する必要がないことを示している。2025/26年度の綿花消費が安定を維持すると予想される中、綿製品の輸入はここ10年の平均値の水準に安定すると予想されており、これはコロナ禍以来の綿花消費の前年同期比の変化とは全く異なる。

米国は綿製品の輸入量が最大の国であり、消費者の可処分所得が安定し、失業率が低い水準を維持し、賃金が安定していることは、最終製品（衣料品や家庭紡績品など）の消費を支えると予想されている。2024年、米国の消費者需要は粘り強く、実質GDP成長は予想を上回り、2.8%に達した。しかし、FRBは現在、2025年の米GDP成長率を1.7%、2026年には1.8%に下げる見通しだ。

世界の綿製品輸入に占める米国の比重が大きいため、米国の経済成長は綿花需要にとって極めて重要である。最近1年間の綿製品の輸入量は330万トンに達し、先進国の輸入総量に占める割合は40%を超え、EUの290万トンと他国の160万トンを上回った。米国の端末製品需要への影響力は大きいため、安定した米国経済は小売製品の注文を安定させると予想されている。

綿花消費と世界のGDPは前年同期比でプラスの相関性を示した。しかし、綿花消費とGDPは必ずしもこの傾向に追随しているわけではない。代替製品（合成繊維やレーヨンなど）が世界の繊維消費の大部分の比重を占めるにつれて、綿花需要の変化もより弾力性がある。国際通貨基金（IMF）は2025年4月の世界経済見通しで、2025年の世界GDPは2.8%増、2026年は3.0%増、2025年の成長は前年の3.3%を下回り、米国と中国のGDP成長は最も減少すると予測している。

世界的な綿花供給の増加は綿花消費を支えると予想されている。2025/26年度、世界の期首在庫と生産量の合計は1億962万パックを超え、前年同期比約140万パック増加し、2020/21年度以来の最高水準となる見通しだ。紡績工場の生産コスト、融資コスト、エネルギーコストの低下も綿花消費を支えるだろう。同時に、綿花価格の低さ、金利の低下、ドル安、原油価格の下落と供給の増加なども工場の利益率を支える。

2025/26年度の世界消費の不確実性には、最終的な世界綿花生産量、綿花価格の変化、将来の貿易政策などが含まれる。世界経済はプラス成長を維持する見通しだが、市場は米国と中国の2大経済体の成長低下を懸念している。中国にとって、輸出が内需の不確実性を相殺し続けるかどうかはまだ分からない。他の潜在的なマイナス要因としては、関税をめぐる不確実性が挙げられ、世界貿易のリスク回避につながる。

最後に、綿花消費は他の繊維の競争に直面し続けるだろう。合成繊維のより競争力のある価格は綿花消費に圧力を与え続け、将来の価格関係は他の製品の代替速度に影響を与えるだろう。近年、合成繊維供給の伸びは綿花消費の伸びを大きく上回っており、2025/26年度の世界の綿花消費は小幅な増加が予想されているが、この傾向は続く可能性がある。